シェフのテーブル シーズン2 グラント・アケッツ

シェフのテーブル シーズン2 グラント・アケッツ

『レストランはワクワクさせる食事体験を提供する場である。』

自分も生きてきた中で高級なお店、おいしいお店、チェーン店など多種多様なお店を見てきたつもりだったが、こんなレストランがあるのだとびっくりさせられた。今回の主人公グラント・アケッツの提供する料理は顧客、というよりレストランに来た観客をびっくりさせる仕掛けで目白押しなのだ。

レストランの内装はおしゃれでいてかつあえてわかりにくく作っている。どこが部屋なのか、映像を見ていてもわかりにくい。こんなワクワクさせる前段階を作った後に食材を浮いて見せる、小さな炭をくべたと思ったら実は炭の中に肉が仕込んであってお客さんの前でひそかに料理をしていた、など子供心をもった奇抜な発想を多数繰り広げていく。

彼の原体験となったのは、両親が経営していたお店でコックをやっていたノームおじさんだった。彼はまじめな性格だったが、おちゃめな人物でもあったらしい。あるときおじさんがフライドポテトを数個つかみ、ピクルスを巻き付けて食べていたのをみて自分にまねさせて笑おうとしているのだと思った。しかし見た目にあまりおいしくない組み合わせのように思えて、非常においしく感じた。彼は子供ながらに『なぜそんな食べ方をするの?』と尋ねたそうだ。彼はこう答えた。『でんぷん、脂肪分、酸味、塩味のバランスがいい』と。彼は衝撃を受けたそうだ。

まじめな両親は料理とは腹を満たすものだ、という考えを崩さず、彼は食材の組み合わせ、食材の見せ方などを探求し始めた。料理学校を経て就職した有名レストランは足の引っ張り合いで自らの独創性を生かせなかった。その後有名レストランをやめ、自分を受け入れてくれるレストランで働き、シカゴ郊外のトリオというレストランで後の共同経営者となるニック・ココナスとであう。彼はたまたま自分の奥さんと料理を食べに行き感動する。そして彼に提案する。

『自分と一緒に店をやらないか?』

店の名前は’アリニア’。意味は段落記号で、意味は「新しい発想の始まり」だ。

初日に国内で最も影響力のある評論家が訪れ、3日後にはNYタイムズの一面を飾った。お客さんはひっきりなしに訪れ店は大繁盛。すべてがうまくいっていた。

しかし現実は無常だった。

グラントはトリオで働き始めたころから舌に白いものができていることに気づき、しだいに痛みに代わっていった。その後医師にこう告げられる。

『ステージ4bの舌癌です。』

料理人にとって舌は生命線だ。彼は苦悩した。自殺も考えた。しかし彼は生きることを決断した。化学療法を受け入れ味覚を失った。

彼は料理人の定義を再定義した。それは自分の発想を他人に伝えることだった。今まで新作料理を自分一人で手掛けていたものを他人に伝え、ディスカッションしていくことで彼の料理はさらなる拡大を見せた。

生検結果が陰性となった数週間後コーヒーに大量の角砂糖を入れてみた。すると甘さを感じた。そう味覚が徐々に回復していたのである。

彼は言う。味の本質をしり、味の相乗効果を理解するまでには時間がいる。自分は33歳の時に知りえたと。

ある評論家は語る。『アリニアにとって創造性や革新性が核だと。しかしそこにはリスクが伴う。その革新性を維持し続けることができるのか。』

彼の挑戦は続く。

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